October 28, 2006

バタイユの5章構成に於ける心理的変化の印象。

1) 「今から私の述べる事柄は、画期的だ。それは人類が今迄に、誰一人として述べてはこなかったものだ。では何故、今迄述べられはしなかったのか? することが出来なかったからだ。然しながら私には今、それが出来る! ところで付け加えておこう。これから私の述べる内容は、その一切が哲学的では無い。けれども見てい給え! きっと吠え面をかかせてやる。」

2) 「どうだい。分かったかな? これこれの事柄が。ちっとも分からないって?(首を傾げて)ではもう一度言おうか、つまり私は、…。〔省略〕何か雲行きが怪しくなってきている。が、私は勇気を振り絞り、"それら"に構わずに突き進む。ようく見てい給え。この問題は次の章に於いて綿密に取り扱われ、検証されるのだから。」

3) 「私は失敗した。何故だ?(目に涙を浮かべながら)けれども私には、その理由が今やはっきりと分かっているのだ! 見てい給え、次こそは!」

4) 「ごめんなさい。先ず、初めに謝っておく。けれども私にはその理由が、今やありありと見えている。私は何も悪くは無い!(泣き叫びながら)然しながら人間が、これこれの問題を扱う為には些か不器用過ぎるのであるから! 神が! 神が私を失敗させたのだ! けれども私にはこれで、神が私に対して言わんとしているこれこれの事柄についてがようく分かったのだから。 次は、最早 為損じることは決して無い。これだ! そして、"これこそが!"」

5) 「思い返せば私はまだ若く、そしてこれこれの問題を扱う為には、まだ充分に成熟に至ってはいなかったのだから。私は述べ過ぎた。私にとっては、まだ時期尚早であった。私にとって一つ分かったことが在るが、それはこれこれの問題が未だかつて解き得ぬものであるし、また、それ以後も、これこれの問題系が人類に於いて解き明かされることは、やはり決して無い。それが分かった。私にはようく分かった。だから神よ! 私を嘲り笑う神よ!」

October 23, 2006

October 22, 2006

October 12, 2006

がっかり

カッフェの窓越しに通りを歩く女の子の放つ"善い匂い"に惹かれて、
私は暫くその彼女を眺めていた。
それは私がよく「淡い恋心」と言って他人に冗談めいて仄めかす
興味本位の姿をした一つの理由だった。
私はいつも通り、幾分身勝手に彼女の仕草を観察し続けた。
彼女と私との間には何の関係も無かったのだから、
彼女は私の眼差しすらまるで気にする事無く明け透けに笑ったが、
その軽薄な他人の顔に私は随分と気分を害した。
すると私は彼女を軽蔑し、既に彼女に対する興味すらも失っていた。
少し「がっかり」した。
そして、こんなふうに私も他人から「がっかり」されているのかと思うと、幾らか気分も虚しくなった。

だが、世界に私の在る事を少しでも気に留める人間など、
一体どれ程に在るのだろうか?