October 12, 2006

がっかり

カッフェの窓越しに通りを歩く女の子の放つ"善い匂い"に惹かれて、
私は暫くその彼女を眺めていた。
それは私がよく「淡い恋心」と言って他人に冗談めいて仄めかす
興味本位の姿をした一つの理由だった。
私はいつも通り、幾分身勝手に彼女の仕草を観察し続けた。
彼女と私との間には何の関係も無かったのだから、
彼女は私の眼差しすらまるで気にする事無く明け透けに笑ったが、
その軽薄な他人の顔に私は随分と気分を害した。
すると私は彼女を軽蔑し、既に彼女に対する興味すらも失っていた。
少し「がっかり」した。
そして、こんなふうに私も他人から「がっかり」されているのかと思うと、幾らか気分も虚しくなった。

だが、世界に私の在る事を少しでも気に留める人間など、
一体どれ程に在るのだろうか?