September 24, 2007

September 5, 2007

ソテの味

I.
「机のソテとは、それは実に珍しいものではあるけれども。美味しいのですか?」
——美味しいのです。
「それは本当ですか? 本当に美味しいのですね。」
——そうなのです、私は嘘は言いません。本当に美味しいのです。
「そうですか。不思議な事に、何だか私はそれがとても食べてみたくなりました。」

——と云うような夢を見た。

II.
「机のソテとは大変に珍しい。然しながら、美味しいのですか?」
——美味しいのです。
「それは本当ですか? 本当に美味しいのですね。」
——そうなのです、私は嘘は言いません。本当に美味しいのです。
「そうですか。不思議な事に、何だか私にもそれがとても美味しいもののように思えてきました。」

——と云うような夢を見た。

III.
「机のソテとは大変に珍しい。然しながら、美味しいのですか?」
——美味しいのです。
「それは本当ですか? 本当に美味しいのですね。」
——そうなのです、私は嘘は言いません。試してみたら如何かしら。
「そうですか。不思議な事に、何だか私にもそれがとても美味しいもののように思えてきました。」

——と云うような夢を見た。

IV.
「机のソテとは、それは実に珍しいものではあるけれども。美味しいのですか?」
——美味しいのです。
「それは本当ですか? 本当に美味しいのですね。」
——そうなのです、私は嘘は言いません。本当に美味しいのです。
「馬鹿ぢゃないかしら、机のソテなんて。然しながら、どうやら私はそれを欲しているようです。」

——と云うような夢を見た。

V.
「此処かね? 机のソテを食わせる店は。」
——美味しいのです。
「それは本当ですか、本当は美味しい机のソテなんぢゃありませんか?」
——そうなのです、私は嘘は言いません。本当に美味しいのです。
「そうですか。不思議な事に、私は心底、机のソテが嫌いになりました。」

——と云うような夢を見た。