I.
「机のソテとは、それは実に珍しいものではあるけれども。美味しいのですか?」
——美味しいのです。
「それは本当ですか? 本当に美味しいのですね。」
——そうなのです、私は嘘は言いません。本当に美味しいのです。
「そうですか。不思議な事に、何だか私はそれがとても食べてみたくなりました。」
——と云うような夢を見た。
II.
「机のソテとは大変に珍しい。然しながら、美味しいのですか?」
——美味しいのです。
「それは本当ですか? 本当に美味しいのですね。」
——そうなのです、私は嘘は言いません。本当に美味しいのです。
「そうですか。不思議な事に、何だか私にもそれがとても美味しいもののように思えてきました。」
——と云うような夢を見た。
III.
「机のソテとは大変に珍しい。然しながら、美味しいのですか?」
——美味しいのです。
「それは本当ですか? 本当に美味しいのですね。」
——そうなのです、私は嘘は言いません。試してみたら如何かしら。
「そうですか。不思議な事に、何だか私にもそれがとても美味しいもののように思えてきました。」
——と云うような夢を見た。
IV.
「机のソテとは、それは実に珍しいものではあるけれども。美味しいのですか?」
——美味しいのです。
「それは本当ですか? 本当に美味しいのですね。」
——そうなのです、私は嘘は言いません。本当に美味しいのです。
「馬鹿ぢゃないかしら、机のソテなんて。然しながら、どうやら私はそれを欲しているようです。」
——と云うような夢を見た。
V.
「此処かね? 机のソテを食わせる店は。」
——美味しいのです。
「それは本当ですか、本当は美味しい机のソテなんぢゃありませんか?」
——そうなのです、私は嘘は言いません。本当に美味しいのです。
「そうですか。不思議な事に、私は心底、机のソテが嫌いになりました。」
——と云うような夢を見た。
September 5, 2007
ソテの味
時刻: 06:39
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