冬の寒さに暖かな強風を感じる時、
それがどんなに乱暴な様子だとは云え、
人の心は浮き足立たずに居られない。
そろそろ春がやって来るのだと云うことを
鼻先に触れる好奇心から察している。
梅の花の咲く朝は、冬の景色である。
先日、上野恩賜公園を訪れた際に目にした大寒桜の紅色は
この時期のものとは云え、異様であった。
春はまだ来ない。
夜ともなれば空気は凍てつく。
ところが春の気配の目につく度に、
人の心は一層逸る。小躍りをする。
それは、春の気象と云うものを
生来から知り得た為の確信だった。
この慌ただしさが春である。
春は嵐と共に訪れる、生煮えの春だ。
湿気を孕んだ空気、粉雪の如く風に舞い散る雨。
乱気流と、雲の変幻の連続、そして仄暗の空。
全てに春雷を予感した。
March 5, 2007
Shoegazer
時刻: 06:41
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