December 9, 2012

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Aと六本木ヒルズ・森美術館へ行き、『会田誠——天才でごめんなさい』展を観た。
相変わらずの悪趣味振りに中々楽しめた。
私はそれらの展示物の殆どを作品としては評価しない為に、却って展示企画としては評価出来ると考えた。
凡そ展示物は冗談である、つまり美術館に居て作品を観ると云う際の通俗的な気分は粗方覆される。
冗談を笑うときには自らの気分が対象化されている。
美術館に居て、然し通俗的な作品鑑賞の、眉根を顰めて作品と向かい合うこと無しに、只単に笑って楽しめるのだから展示企画としてはそれで良いのだ、と云う内容。
但し、興味の惹かれた作品も在った。
いかにも手製の額縁に唐草紋様の描かれた画面が収められたもの、『紐育空爆之図(戦争画RETURNS)』、『スペース・ウンコ』、『スペース・ナイフ』、巨大な横長の画面にあざやかな色彩で美少女たちが描かれた新作、『巨大フジ隊員vsキングギドラ』、『犬』シリーズ、『美味ちゃん』シリーズ、これらは個人的な好みも含めて作品として楽しんだ。
加えて"MONUMENT FOR NOTHING II"の段ボール彫刻群も面白かった。
ふと、会田誠の描く美少女たちは、今となってはもう余り見掛けないようなタイプの風貌だと気付く。殊更にノスタルジックな印象を抱くことになった。ではもし、彼女らが今風の美少女へと描き変えられたならどうであるか、と考えた。美少女像が特定の時代性に結び付いているように感じる、このタガを外すことは何か作風の毀損へと繋がるだろうか?

展示を観終わってから展望台へ出たら、晴れの日差しが思いのほか目の奥に刺さった。
あたかも六本木ヒルズを中心として広がる東京のビル群、その向こうには徐々になだらかに低くなり続く神奈川・埼玉・千葉方面の密集した市街と、時折ぽつぽつと小規模な突出をみせるビル群のようすが、それぞれに強く光を反射している。冬の澄んだ空気で、随分と遠くまで見通せる。そして、遥か遠方で次第に薄く霞んでいく。
何か無性に東京タワーのオレンジを間近に見上げてみたいと思うのはこう云う日だろうか?
六本木から三田までを、気の趣くまま二人で散歩した。

帰りの電車で、疲れで眠り込んでしまったら、気付けば日吉まで来ていた。
日吉駅の書店にて、
西山優里子『家電の女』(Bd.2)、
を購入した。