March 17, 2017

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危口くんがとうとう死んだ。
それでもまだあと数ヶ月くらいは生きるだろうと思っていたから、案外早いその死の報せにはやはり驚いた。
結局はしばらく会うこともなかったまま彼とは別れることになった訳だが、危口くんとの出会いは6年ばかり前に彼の演劇公演の照明を僕が引き受けることになったからで、それからここ数年の彼の活躍は目覚ましくて、近所に住んでいながらも次第に会える機会の減ったことが僕には少しばかり面白くはなかったのだが。しかし、彼の急激に思想を発展させていったかのような様子は傍目に見ていても興奮させられるものがあった。
無論、僕の周りで目覚ましく活躍しだしたのは何も彼ばかりではないけれど、それでも「僕も怠けてばかりいないで何かやろう」と思って展示照明のことをしだしたのは、やはり僕の割と身近なところにいた彼の作品にはもう次第に舞台照明家としては関われないのだということへの自覚の与えた哀しさが存外大きかったのだ。
だから僕は照明に対する考え方を改めたのだった。
とはいえ、結局は僕が何者にもならないうちに、彼が僕のことをまた面白がるようになる前に彼は死んでしまったのだけれども。そこには多少の悔しさはある。

ところで、彼の訃報を受けたときに気付いたのだが、なぜ僕は危口くんにTwitterでblockされたのだか、それはここ数日の操作だと、つまり彼の死に際のものだと思われるのだけれども、それが最後に解せないな。それでも気づいたときには彼の内心を想像しながら不覚にも噴き出してしまったのだが。

彼の、木口統之くんのご冥福を祈りたい。