July 25, 2009

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 六本木はミッドタウンにある 21_21 Design Sight へ、『骨』展の併設企画である菊地成孔氏のレクチャーを聞きに行く。名前こそよく聞けども彼の音楽をまともに聴いたことはない。勿論、生で見るのは初めてのことだ。上位倍音、差音・加音、リズムについて、ラモーの音楽理論概説を中心に。
 それから旧乃木邸の脇を抜け、乃木坂トンネルの上を歩き国立新美術館の前へ、それから脇道に逸れるようにして青山霊園内を散策する。幾つかの墓を詣でるも、手を合わせる途端に言葉が頭の中から消えていく、失語の感覚を常に味わうのだ。
 ゆっくりと、ビルの日陰を頼りながら渋谷方面へと歩く。青山学院大学の向かいに在る古書店にて、
野崎孝訳『フラニーとゾーイー』(新潮社、1976年)[=Salinger, J. D. "Franny and Zooey" 1961.]、
野崎孝・井上謙治訳『大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア—序章—』(新潮社、1980年)[=Salinger, J. D. "Raise High the Roof Beam, Carpenters and Seymour: An Introduction" 1963.]、
天沢退二郎訳『青空』(晶文社、1968年)[=Bataille, G. "Le Bleu du Ciel" 1957.]、
これらを購入した。
 元住吉に戻り、暫く自宅での読書を楽しんだ後、近所の高台に在る公園へ行き、隅田川花火大会を見る。同時に二会場を見渡すことが出来るものの、音ばかりがして花火の殆どはビルの陰に隠れてしまう。時折、向こうの空が色鮮やかに数秒染まる。乙なものである。このような高みの見物は、「東京」という都市がスプロールしていく様をもまた、まじまじと見ることでさえある。会場の上空には数機のヘリコプターが滞空していたが、花火が終わると、やがてそれらはこちらへ向かって帰還していった。