乗っ取り=支配を確立することなしに取り上げること、束の間であることなく流用すること——ストリート文脈に沿う。つまり、所有と管理からは逸脱し、かつ出来事として有用な時間単位或る場所を占有すること。無署名性との関係は社会的要因に依る。故に今日のヴァナキュラなもの、マイナーなもの、ブリコラージュ等々の表現が公然のものとされる場合、これらが「乗っ取り」である可能性を考慮する必要が有り、また乗っ取り対象からの所有・管理の一時的な引き剥がしは権利問題である。言うなれば、「乗っ取り」が公共性とは完全に対立しないが故に、マイナー表現は成立可能であるが、無署名性についての問題提起は失敗している。