January 7, 2009

untitled

 風邪をひいたのだろうか、紙巻き煙草の匂いがやけに——それも不快な具合に——鼻を突く。自分の服に染み入った煙草の匂いには敏感になる。自宅で煙草を吸っているときも、部屋に充満したまま暫く消えることがないこの匂いを幾らか不快に感じている。——だからといって即座に喫煙の習慣を止めることはなく、専ら喉が煙草の味を欲しているというふうに、私は相変わらず煙草を吸っているのだが。それにしても匂いに伴う嫌悪感は吐き気と同様に、理由に先立って立ち現れてくる。世に煙草の匂いに嫌悪感を抱く人間がいることは知っているのだが、それらの人々が、私が今まさに感じているような不快感のすぐ背後に嫌悪感すら引き連れているとすれば、そのような感情の運用がいかに性急なものであるにしろ、空恐ろしいことだと思った。思い返せるならば本当に馬鹿々々しい理由から生る嫌悪感に過ぎないのだけれども。