July 20, 2008

untitled

 この日は来月下旬に公演日を控えた『ペトルーシュカ』の会場を下見する為に、関内へと足を向けた。毎日の通勤路をそっくりなぞるようにして、明日もまた同じ道程を辿るというのに、歩き馴染んだ経路を足早にこなし日吉を更に越えて横浜へと至る。会場となる ZAIM に着くと、先に下見を終えたSd君(彼はこの公演では照明オペレーションを担当する)と合流し、夏の暑さを避けて近くのカッフェへと逃げ込んだ。そこで暫く、照明プランについての打ち合わせをする。再び ZAIM に戻り、プランの確認をする。用事を済ませた後、駅の近くでビールを飲みながら彼と世間話をして、それから電車に乗り私は新宿へと向かった。その途中までの経路を同じくする彼は新橋で下車し、私は東京駅で中央線に乗り換えた。
 次の打ち合わせまではまだ暫く時間が余った。それまでをどのようにして過ごすかが目下の緩慢な悩みどころとなった。私は駅周辺をふらふらと経巡って中古CD屋に入った。すると、偶然居合わせたKndさんとFjtさんとを運善く暫しの話し相手として掴まえることになる。不思議なものだ。Kndさんから彼の個展の観覧チケットを貰った。彼らとの会話の中で知人の近況を伝聞形で窺いながら、頃合いを見計らってその場に別れを告げた。次に再会するのはいつになるだろうか?
 それから数店舗を気の赴くままに梯子して、新宿二丁目へと行きまたビールを喉に流し込んでなけ無しの羽を伸ばした。靴底にも霊感を! とは云えここでようやく尻餅をついたような恰好になったので、私は店先のテーブルに寄り掛かり自らの陰気さのことを若干だけ気にしながら、少しの間は照明プランのことを考えていた。そしていま思い返すと身悶えするような拙い私の他国語を恥じながら、周囲を銘々に陣取る他国人の会話に耳を峙てていた。そこでYkt君と待ち合わせ、定刻に他の打ち合わせのメンバーとも合流して、なんやかんやと話し合いをし始めた。