仕事帰りに電気屋の暖房器具売り場へ行き、そこで束の間往生した。
私は二台在るファンヒータの前で暫く勘案した。左手の一台は、徳川だか明智だか、武張った響きがローマ字綴りにしてあるメーカの。もう一台はコロナ製である。外観としては左のものが気に入った。デザインしてあるらしい、かといって何とも垢抜けない容貌が如何にも暖房器具である。ファサードが見た目にシンプルで、耳馴染みの無いメーカだが、よっぽど酷く無ければこれも有りだ。しかし片やコロナである。先ず確実に動作の問題は無かろう。エアコンであればダイキン製、と言うのにも似ている。そう云えば私の幼少の頃に、「ズックがほちい」と父に言ったら「オニヅカにしなさい」と言われたことを思い出す。私はナイキのが欲しかったのだが、社名に盲目的な信頼を抱く響きの有るのがブランドで、母方の祖父が同様の口振りを大塚製薬について使っていたのが懐かしいが。さて、この二台は殆ど同じ価格である。おまけにどちらも特価なのだ。動作性能は——コロナのカタログはすぐに見付けた。武張った方は陳列棚の端の方で、他の商品の間に挟まれくしゃくしゃになった一部を見付けた。並べて見比べてみると、静粛性なら左であるが熱効率なら右のということらしい。ただし最大動作音ではどちらもさしては変わらない。また、左のメーカは燃焼機関の耐久性を売りにしている。それならコロナ製にも聞き見知ったような信頼性を覚えている。私はこういう比較に熱中して真剣になる。先ほどから売り場の店員が二三度脇を通り過ぎるものの、最早出る幕が無い、といった具合に。
元住吉に在る中古本屋にて、
氷室冴子『海がきこえる』(徳間書店、1993/1999年)[文庫版]、
同『海がきこえるII アイがあるから』(徳間書店、1995/1999年)[文庫版]、
を購入した。
February 3, 2010
untitled
時刻: 00:00
label: booklist, memorandum