November 23, 2008

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 新宿へ行き準久堂で『SITE ZERO/ZERO SITE』(No. 2)を購入した。特集は「情報生態論――生きるためのメディア」——書き手の多彩なことにも惹かれたのだが、それより若手の書き手がどのような文章を書くのかが気になった。今年の春に廃刊となった『10+1』や、或いは『Inter Comunication』、若干個人的な興味を持続させている『Review House』や、最近また面白味を取り戻した『STUDIO VOICE』など、私の興味の範疇にこれらの雑誌と並ぶもののように思われた。
 「TOKYO FILMeX」のコンペティション作品である Kulbai, A. "Strizh"(KZ, 2007.)を観た。概ね面白味が有った。字幕は日本語の他に英語のものが併記されていた。作中に話されていたのはおそらく露語だろうか、全く未知の声音という訳でもないし、英語の字幕は文化的なニュアンスの差異を埋める助けとなった。だが、私はこの作品の結末ついては笑えばよかったのかな? お互いの抱く理由に食い違いを見せながらも、一先ず肩を寄せ合っている父娘の姿にはパトスの固着があるのだが、然し結末のコメディめいた描写によってそれが解決されぬままにいまひとつ腑に落ちない気分が残った。彼女は思いの逸る余りに"CLINIC"の前を通り過ぎてしまった、ということなのだろうか。