——今はみんなで東京のことを考えている。《いかにもこの都市は中心をもっている。だが、その中心は空虚である》とはロラン・バルトの言葉、フランス人の彼がその本質をあっさり見抜いてしまった東京には皇居があって、私たちはみんなでそのまわりをぐるぐると日々回り続けている。意外にも案外でっかい東京、知らぬ間にバターになった私たち。みんなで空虚に振り回されて、みんなは何を共有しているのだろうか? でも、その何かを共有しているってことだけは相変わらず事実だったりもする。この私がみんなでは無い事実、「私」は私であるけれども、私は「あなた」と確かに繋がっている事実もあって、舞台で役が成り立つ為にはそういう「みんな」が必要なのだ。
※ 小指値『霊感少女ヒドミ』当日パンフレット(有料版)掲載文、一部修正有り。
February 10, 2008
浮遊するマルチプル・ゲンガー
時刻: 01:03
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