February 4, 2008

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 新番組『Mnemosyne —ムネモシュネの娘たち—』第1話を観る。
 このアニメでは、東京を舞台にグロテスクやエロスが展開されている。
 燐・ミミの口癖「永遠に」や前埜がする自己喪失感の吐露に、いかにも今ふうな刹那感の過剰が見られる。が、それらはフレーズにまで落とし込まれ、あくまで現状を諦観するような視座はやもすればステレオタイプであり、どちらかと云えば'80年代の「無気力・無感動」に近い。
 実を言えば今の若者たちは「無気力・有感動」であり、それ故に感情の構成要素が陳腐であり、けれどもその陳腐さについては充分に自覚している、と云う或る種の"動物的な焦燥感"(落ち着きが無く、忍耐に欠け、純粋で、主観的な価値観を重視し、伝統的な中央集権的組織を形成するのには向いていない——つまりゲリラ組織的である)を備えている。この特徴は確かに、彼(女)らの生産行動が生活に直結し情動労働に向いていると云う点ではマルチチュード的でもあるが、然しながら彼(女)らには主体性の芯が欠けており、1人称(I)が3人称(We)を常に代表する4人称的な性質がある——言うなればそれはレギオン(Legion)に似ている。

〈Then He(Jesus) Asked Him, "What is your name?" And he answered, saying, "My name is Legion; for we are many."〉
---Mark 5-9