January 23, 2008

untitled

今日の東京は雪に覆われた。
日頃は「温暖化」の喧伝に不安を掻き立てられている人々も、
この時ばかりは正しい冬のすがたを享受する。
「とは云え数年前ならば、もっと雪も降ったものだけれど」
と云う台詞も詠嘆調の挨拶事となる。
だが近年の夏には、あの童心湧き立つ入道雲も、激しい夕立に追われて軒下に暫し身を隠す興奮もいつの間にか消えてしまった。
ただ冬の寒さだけが年々身に凍み入ってくるが、ふと思い返せば幼い頃の連日の雪には暖かさが有り、次第に春の香りが募る夜明けに身を捩った堪えの無い気分すら、今となっては忍耐の為に擦り切れていく事を想像して無性に悲しくなった。

打ち合わせの為にアゴラ劇場を訪れ、その後で駅前に赴いたら、
雪を被り頭の先からずぶ濡れになった腕白少年と出会った。
「大丈夫ですよ、今朝からこの恰好です」
と私に息巻いて見せた半袖の彼は俄に上気して頬を赤らめている。
が、その姿には思わず彼の肺炎を患う事を憂慮してしまうのだ。

写真に写るのはNbさん。駒場にて。