March 20, 2008

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 3/20の朝日新聞朝刊(37面)で知ったのだが、アントニオ・ネグリ氏の来日が急遽延期(事実上の中止)となった。それに伴い、ネ氏来日に因んで企画されたイベントも中止又は内容の変更等が為されるだろう。
 今回の事は、端的に言って非常に残念である。

 尚、下記 url には、ネ氏来日中止に関する詳細と氏よりのコメント文が掲載されている。

財団法人「国際文化会館」>>>
 http://www.i-house.or.jp/jp/ProgramActivities/ushiba/index.htm

 これを読むと、20日に日本への渡航を控えたネ氏に対し、その直前に突如として法務省から彼の入国に横槍が入った事が窺える。この措置について、ネ氏が「出入国管理及び難民認定法」の第5条4項(「上陸の拒否」)「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者」として日本法に抵触する事がその理由とされた。
 ネ氏は1979年、「赤い旅団(Le Brigate Rosse)」によるアルド・モーロ元首相誘拐暗殺事件への関与に対する嫌疑から逮捕・起訴された。その後、この件についての無罪が確定するが、彼の政治的な影響力を危惧したイタリア政府は新たに「国家転覆罪」を適用する。彼はその裁判中の'83年にフランスへと逃亡・亡命し、'97年にイタリアへ帰国、監獄に収監され6年間の禁固刑を受けている。
 今回の措置はこの事柄を受けてのものであるが、前述の第5条4項には「ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない」ともあり、法務省はネ氏に対して彼が政治犯であったことの正式な証明を求めていた。が、彼がその証明を即座に行なうことが時間的にも難しい為に、今回の来日が中止とされたようなのだ。これについて、素人考えからは「国家転覆罪」が「政治犯罪」では無いと云う事には少々奇妙な印象を受ける。(フランス政府はイタリア政府からのネ氏身柄引き渡し要求に際して彼を政治亡命者としては扱わなかったのだが、彼がイタリア国内に於いて不実の政治犯の身であることは最早公然の事実であろう)只おそらく、この例外を適用するためには、どちらにせよ関係書類の用意が必須なのだろう。
 「アントニオ・ネグリ来日プロジェクト」と銘打たれ企画されたイベントのうち、東京芸術大学で催される『ネグリさんとデングリ対談』については、このまま企画を継続して欲しいと思う。今回の一連の自体を踏まえた上で、何らかのアクションが起こることだろうから。